好きなことの話

好きなことの話をします

東京文学フリマ(春)に出た時の話

今さらかよ という声が四方八方から聞こえるんですけど、5/1文学フリマ東京に来てくださったみなさんありがとうございました。

中学の頃は文学賞を最年少受賞してあいつらを見返すことだけを考えていた。高校の頃は誰にも読まれたくないと思っていた。大学の頃は他人の作品を読まないサークル部員に苛立っていた。
小説のようなものを書き始めて12年あまり、「読んでくれてうれしい」という気持ちを持ったことは一度もなかった。褒められれば嬉しかった、読んでもらえればありがとうを言った、批判されれば悔しかった。でも読者に対して感謝の気持ちを持ったことは一度もなかった。私は中学生のころの自分を救済するために小説を書いていると思っていたし、うまくなりたいのはプライドのためだった。 でも、お金を出して買ってくれる人の顔を見て、初めて読んでくれてありがとうと思った。現金ですね。今までは、どんなに赤を入れられても、目の前で読んでいるのを見ても、興味があるのは評価だけだった。
下手くそクソ野郎買って損したと思われていたとしても、買った後読まずに積まれていたとしても、買ってくれた人みんなにどうもありがとうと思う。 どうもありがとうございました。

秋の文フリには出ませんが、また機会を作って行きたいと思っています。がんばって書きます。

以下は出展に関する覚書です。
「小規模サークルはどうしたらいいんだ!!20冊だけ売りたいんだ!!」と思ったのにあまり情報がなかったので、なにかのお役に立てば。

○前提

・知名度ゼロ、フォロワー160人なので売れる見込みはなし。ただし元文芸サークルのオタクなので同人誌を買う文化のある人が身の回りに多い
・文フリは大学のサークルで数回出ているが一人での参加は初めて
・追記:印刷所の価格などはすべて2016年5月現在のものです。実際の値段は各公式サイトをご確認ください

○値段の話

文庫版160ページ400円で売りましたが、これはどうやら相当安い部類のようです。
今日たまたま「100ページ1000円の小説同人誌は買えない、挿絵つき20ページ500円で」と言ってる人を見かけましたが、それはいくらなんでも高いかな……周りを見渡すと、100ページ1000円もいれば30ページ無料もいれば300ページ500円もいるという感じで、ばらつきは大きいようです。
製本直送.comさんを使い、原価は1冊につき630円強(普通便の場合。後述)。ブースが5500円。ぜんぶ売れたら印刷代・ブース代・その他諸費用の3分の1くらいは回収できるかな、というのが400円でした。手にとってもらいたかったし。

○印刷所の話

・安い
・速い
・入稿が楽
という観点から製本直送.comさんにお世話になりました。pdfで表紙も本文も一緒のデータを送ることができ、やりとりも注文のみなので大変楽でした。仕上がりもきれいでよかった。
ただ、1回目の注文で届いたものと2回目の注文で届いたもの、データは同じなのに表紙の色味がかなり違ったので、イラストなどカラーを重要視する場合には向かないかもしれません。その他は問題なく、渡した人に「ちゃんと本だぁ!」と言われる仕上がりです。
f:id:rikka_6:20160826194701j:plain あと、トップページに「混雑状況ふつう3〜8日でお届け(目安)」とあったので10日前に注文しようとしたら、注文直前に「普通便の場合10日以上かかることもあるから心配なら急行便にしときなよ」というようなことが書いてありびびりました。調べたらやっぱり2週間かかったという人もいたし、コミティアともかぶっていたので、念のため急行便(値段1.5倍)に。余裕を持って入稿したほうがよさそうです。

めちゃめちゃに悩んでいる様子です。

○ブースの話

お友達の空木コウさん(@soraki_koh)がイラストを描いてくださることになったのでよろこんでお願いし、データでもらったのをA4で印刷して段ボールに貼って立てました。
当日これを立てて、本を積み上げ、フリーペーパーを並べ、お金を入れた缶を置いたら……せ、せまい。 f:id:rikka_6:20160826194734j:plain 文フリは長机の半分が1ブースなんですが、思ってるより狭いので、一度測って並べてみるのがよさそうです。
あと、この立てた裏に取り置き分を置いたり、お金を数えたりできたのがよかったです。空木さんありがとう。
見本用の一冊を立ててるスタンドはハンズで買いました。たぶん500円くらいだったと思う。
飾り付けとかはほぼしなかったですが、すごく飾ってるブースはやっぱり目を引くなあと思いました。次はもうちょっと準備したいものです。
それから、今回はお隣が欠席だったのでわりと余裕がありましたが、後ろ側も結構狭いです。荷物の多い人や、メンバーが多いサークルは工夫が必要だと思います。

○取り置きと冊数の話

印刷前は取り置き依頼5人くらいだったので、20冊刷りました。
それが印刷できたよーとツイートしたとたんもう5人、当日になって行きますと言ってくれた人が5人、といった感じで、ぜんぜん一見さんに売れない!!と焦りました。ので、買いにきてくれた人を優先して、別の日に会える人は待ってもらい、あとから20冊刷り足しました。 やっぱり表紙とかものが見えるとほしい気持ちが高まるし、ツイッターなどだと「買います」「えっじゃあ私も」という感じで次々来ます。「郵送OKって知ってたらもっと早く言ったのに」という人もいました。
・アピールが足りなかった
・取り置き受け付けますよ、と言うのが遅かったし、取り置き依頼に締め切りを設けるとよかった
・郵送受け付けますよ、と言うのも遅かった
・最悪家に在庫を置けばいいんだからもっと思い切ればよかった
あたりが反省点です。

○当日売れたかの話

上記のようなごたごたがあり、知り合いに10冊、それ以外に9冊売れて、終了1時間前に完売となりました(除見本誌)。上出来と思います。 なぜか前半に男性が、後半に女性が集中していました。男性のほうが来るの早いのかな……?

○その他当日までにやったこと

・当日朝は遅刻しました。開場と同時に駆け込む必要はないですが、余裕持って行きましょう。
・見本誌コーナーには置きましたが、効果のほどは不明です。効果あったといいな。
・帯ぜったいあったほうがいいです。帯を見て買ってくださった方もいました。ちゃんとした本っぽさも出ます。「同人誌 帯」でググりましょう。
・100円玉を入れる缶は持って行ったんですが、お札が困った。封筒など持っていくといいです。
・事前に頼まなかったんですが、来てくれた友人が一時的に売り子を変わってくれました。ごはんも食べたしお手洗いも行ったしありがたかった。事前に頼んでおくとよさそうです。お礼の品がなにもなく焦りました。
・カレーうまい。

○通販の話

なかなか会えない友達や遠方に住んでいるフォロワーさんがほしいと言ってくれたのでBOOTHを開設しました。送料(スマートレターにしたので180円)は相手負担にさせてもらって、手数料分は上乗せしませんでした。冊数が多いと地味に手数料が増えていくので、ちゃんと計算したほうがよさそうです。
個人情報の問題もあり、欲しいと言ってくれた人だけにURLを教える形にしました。

○収支の話

文フリ出店料 5500円
製本(1回目、急行オプションつき)18616円
製本(2回目)12786円
その他 500円
BOOTH手数料 815円
計38217円

売上400円*37冊=14800円
カンパ他 1600円
計16400円

-23417円の出費でした。年1〜2でこの程度の出費なら、そんなにめちゃくちゃに高い趣味ではないと思います。
もちろん値付けや印刷業者などにより、もっと高くなったり安くなったりすることも十分考えられます。

 

以上、文フリサークル参加に関する諸々でした。文フリに出たいなと思っている小規模サークルさんにとってなにかの足しになればうれしいです。