好きなことの話

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中国茶のこと

 仕事中、中国茶を飲んでいる。以前中国茶体験教室に行った時に貰った茶葉の存在を思い出したのだ。

 体験教室では美しく素敵な器で作法通りに飲む方法を教わったが、先生が「揃わないうちはなんでもいいんです。マグカップに茶葉を入れてお湯を注いで茶葉を除けながら飲んで、そのまま何回か飲めばいいんですよ」ともおっしゃったので、そのようにしている。

 細めのマグカップに茶葉をそのままざくざく入れる。ラベルには「特級白牡丹」と書いてある。白茶という種類らしい。熱いお湯を注いで、適当に蓋をする。私は適当すぎるので眼鏡拭きをかけたりする。茶葉が浮いているのでふうふう息を吹きかけて向こう岸に寄せて飲む。たまに茶葉が口に入るが特に気にならない。

 本当は蓋碗と呼ばれる蓋のついたお茶碗があって、蓋とお碗の間で茶葉を漉し取るようにしながら飲むのだという。素敵な蓋碗が欲しいなあ、と思っているのだが、なかなかいいものに巡り合えずにいる。いいな、と思うと2万円くらいしたりする。終息したら中華街に探しに行きたい。

 減ってきたらそのままお湯を注ぐ。そう、お湯を注ぎっぱなしでも渋くならず、何回も淹れられるのが中国茶の特徴なのだそうだ。だから仕事中にだらだら飲むのに向いている。

 二煎目以降は大部分の茶葉が沈むので飲みやすい。半分ほど飲むころには仕事に集中し始めていて、二時間後にふと思い出して口をつけると冷たい。上からお湯を足して三煎目。どうにかこうにか仕事を片付け、報告メールを送信して飲み干し、口に入った茶葉を捨てる。山ほど開いたエクセルを全部閉じる。

 三煎を経て、くるっと丸まっていた茶葉はみずみずしく戻り、「茶殻」というより「葉っぱ」という感じになっている。葉の縁のぎざぎざのひとつひとつまでぴちぴちだ。

 体験教室では茶葉の選び方も教えてくれて、香りや見た目だけでなく茶殻も大事とのこと。「たとえば中国に行って茶葉を買いましょうというとき、お茶殻を見せてくださいと言ってみてください。茶殻を見ると良し悪しがわかります。良し悪しの見分け方はここでは説明しきれないんですけど、茶殻を見せるのを渋るようなお店はよくありません」と言っていた。しかし観光に行った先でそんなはったりがかませるだろうか?無理だな。「ちゃ……茶殻?を?見せてもらえます……かね?」みたいに挙動不審になって素人だとバレ、海千山千の茶葉商人に騙されて味のしないお茶を売り付けられるのを想像しながらPCの電源を切って退勤。明日も飲む。